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親族間の仲が良いように振る舞っている可能性について

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相談者が会社代表者で、ほかに株主として親族がいるようなパターンでは、事業承継の際に、当該親族の意見が重要になってくることがあります。

仲が悪い場合ほど、自分の意見が通るような言い方をする?

これまで、いろいろな経営者の方とお話をしてきましたが、(全員がそうであるわけではないですが)他の株主と仲が悪いということを表現されない方が多いように思います。

特に「ほかの株主も、自分と同じ意見になるはずだ」なんていう、断定的な言い方をされる方もいらっしゃいますが、その場合は、たいがい他の株主とコミュニケーションが取れていないように思います。(他の株主の近況などを聞いていて、「あそこの奥さん、いま、体調がわるいから、会社のことに口出せないんじゃないかなぁ」みたいな具体的な話がでてこないとき、とくにその可能性が高まるように思います。)

強気な発言をすることは姿勢としては間違いないのですが、場合によっては方針を見誤ります。

第三者M&A前提で動いていたのに半数株主が同意しない?

第三者に引き継ぎすることを検討するため、承継候補企業に接触しようとしていました。その前段階で、現時点の会社の株主の状況を調べたところ、代表者は半分の株しかなく、もう半分は他の親族が株式保有していることがわかりました。

そこで、弁護士としては、代表者に「他の株主の方の意向は大丈夫なのでしょうか」と確認はしたものの、「私と同意見だが、体調が悪いらしく、事務所には来ることができない」みたいなことを言っていました。それを信じ、とりあえずM&Aの話を進めていくことにしました。

そして、いざ第三者への接触をした段階で、関係者から、「あそこの家は、社長と他の親族が対立していて、もう収集がつかない」という噂が入ってきたのです。

案の定、ほかの株主は、株を売る気がない(「株を売ると、代表者の言いなりになるようで許せない」という心情的な面が大きな理由)ということを言い出しました。

そんなわけで、結局、事業承継は頓挫しました。

他の株主の意見は直接聞く必要がある

結局、他の株主の意見も、きちんとヒアリングしておく必要があります。

話が進んだ段階になると、なかなかリカバリーもしにくいですから・・・

弁護士 杉浦智彦