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簿外債務を持っている企業の事業承継の方法

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簿外債務は意図せず発生することがある

簿外債務とは、帳簿に載らず、その結果、貸借対照表には計上されていない債務のことをいいます。

「帳簿に載らないとか、そんな会社大丈夫かよ」と思う方も多いでしょうが、一定の中小企業は簿外債務を抱え込みます。

それは、中小企業の帳簿や貸借対照表というのは、「会社の状態を表すもの」というよりも、「税務会計」といって、税金を払うためのもので、実際の会社の状況とは別になってしまい、その結果「簿外」扱いされる債務が発生してしまうからだと言われています。

このような、意図的ではないものは、(任意で報告もされ、修正も比較的簡単にできて実際の状態を把握しやすいため)そこまで大きな影響はありません。

資金がショートしそうなときは意図的な簿外債務が発生することも

ただ、簿外債務ではないものもあります。

その一つの場面が、資金がショートしそうなときに、会社の状態を「あえて良く見せようとする」ために、知人会社から借り入れた借金などを隠す場面です。

こうなると、事業承継はなかなか難しくなります。

なぜならば、「ここに簿外債務があります」と言われても、「ほんとうにそれだけなの??」と疑われてしまい、信用できなくなるからです。

簿外債務を引き継がない、事業の引き継ぎ方もある

簿外債務を引き継がない形での事業の引き継ぎ方もあります。

それは、組織をくっつけるのではなく、「事業」だけを引き継ぐ方法です。

「事業譲渡」という方法です。

株式譲渡や合併などだと、簿外債務もそのまま引き継がなければなりませんが、

事業譲渡の場合は、選んだものだけを引き継ぐことが可能になり、選ばれなかった簿外債務を負担することはないからです。

事業譲渡にもデメリットがある

ただ、事業譲渡にもデメリットはあります。

いくつか代表例を挙げます。

  • 従業員との雇用関係や取引先・金融機関の関係を個別に引き継がなければならず、面倒
  • 許認可は消えるので、別途取り直す必要がある
  • 特別決議が必要なので、内部対立があると困難
  • 事業譲渡後に、引き継いだ事業の従業員と、引き継ぐ前から営んでいた事業の従業員の労働条件の統一をしなければならず、面倒

こんなかんじで、やはり、それなりに面倒ではあります。

いろいろな手段の中で、弁護士のアドバイスを受けつつ、引き継ぎ方法を考えなければなりません。

弁護士 杉浦智彦