事業引き継ぎのときに社会保険に入っているか確かめないと・・・
加入義務があるのに社会保険に加入する手続がなされていない場合は、過去分の保険料もさかのぼって追徴されます。
そのため、加入義務があるのに未加入者が多数に及ぶ場合は、事業を引き継いだ側が大きな潜在債務があります。
さらには、刑事罰が科されるリスクもあります。
近年、社会保険・労働保険加入義務があるのに加入していないということで、各地で労働者から損害賠償請求の訴訟が起こされており、場合によっては慰謝料や、平均余命までの逸失保険金を支払うよう判決が出ているものがあります。
そのため、事業引き継ぎの際、社会保険に入っているか確認することはとても大切なのです。
パートさんやバイトさんの社会保険はチェックしたほうがいい?
正社員は、社会保険に加入していることがほとんどでしょうが、そうでない場合は、一定の要件を満たしていれば、加入義務はありません。
一例で、短時間労働者があります。パートさんやアルバイトさんは、これに該当する可能性があります。
要件は、以下の2つです。
①事業所で使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用されている通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満
②以下のいずれかの要件を満たすこと
- 一週間の所定労働時間が20時間未満
- 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれない
- 報酬額が8万8000円未満
- 高校・大学の学生であること
- 従業員500人以下の事業所に勤務していること
そのため、バイトさんやパートさんの勤務時間をきちんと判断することが、社会保険で想定しない債務を負わないようにする対策なのです。
チェックする書類は?
事業を引き受ける側は、以下の書類などを確認して、社会保険加入義務違反がないか確かめることになります。
- 社会保険の届出書
- 保険料の計算書
- 賃金台帳
- 雇用契約書・労働条件通知書・就業規則・パートタイム就業規則(労働時間確認)
また、労働者への実際のヒアリングもしたほうがいいでしょう。
これらの行動をすることで、リスクを下げることができます。
弁護士 杉浦智彦