事業承継の売り手側が売却前に注意しなければならないのは、「(あるタイミングまで)いかにして周囲の人間にばれないようにするか」ということです。
やはり、事業を引き継ぐとき、経営者の体調不安などを連想させ、取引先だけではなく優秀な従業員も離れてしまうことがあります。
親族であれば、その親族と一緒に数年事業をしていき、それで後継者であることを内外に知ってもらう手続きを取るわけですが、
外部に売却する場合は、なかなかそういうわけにもいきません。
(ただ、実際、外部に売却する場合でも、「雇われ役員・従業員」という形で、しばらくは売主である経営者も会社に居残ることが多いです)
そのような問題もあるので、マッチングの際は、一定のタイミングまで「ノンネーム」と言われる形で、情報をできるかぎり隠しながら買い主を探すことが多いです。
また、専門家との打ち合わせも、スーツではなく、私服や取引先のふりをして行うこともあります。
いろいろな場合もありますが、専門家が関与することは、情報を漏らさないという観点で重要になります。
弁護士 杉浦智彦