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株式の価額の計算方法(その3)

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前回までの続きです。

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原価厨のコストアプローチのメリット・デメリット

前回解説した、原価厨の「コストアプローチ」ですが、この方法の最大のメリットは、他の方法に比べて、明確に決まりやすいということです。

要するに、財産の価格を再調達しようとするか、または売却したときの価値ですからね。比較的客観的に決まります。

ただ、最大のデメリットは、「継続する会社の価値を図るものとして妥当なのか」というところです。

「事業」として売却するのではなく、「財産」の価値しか見ないから、継続する会社の「のれん」などは、算出されません。

これを算出するため、純資産プラスということで、EBITDAの1年~数年分などを足すという修正方法もあります。

しかしながら、変にプラスしてしまった分だけ、不明確になり、価値の計算が曖昧になります。

マーケットアプローチのメリット・デメリット

市場から類似のものを探してくるマーケットアプローチの最大の問題は、

「比較対象が見つからない」

「比較対象らしきものがあるとしても、「どうして近いのか」を明確にするのが難しい」

ということです。

この方法の強みは、市場から判断するので、当事者が納得しやすいというところです。

インカムアプローチのメリット・デメリット

インカムアプローチの最大のメリットは、「公正」だということです。

きちんとした算定式に従って計算するので、公正だと言われています。

過去の裁判例でもインカムアプローチの一種であるDCF法が、一番正しい算出方法だと言われていますし、学者もそれに賛成しています。

ただ、この方法の最大の問題は、「計算式は正しかろうが、その計算式に入れる数値を算出するのが難しい」ということです。

どういう事業価値なのかを数字に落とし込まないといけないわけですが、数字への変換が難しいのです。

会計士などの関与が必要になるので、費用もかなりかかります。

適切な方法は、「なんのためにやるのか」というところに左右される

以上のとおり、それぞれメリット・デメリットがあります。

もし、裁判になることが予想されている場合は、面倒でもインカムアプローチのDCF法を使わざるを得ないこともあるでしょう。

もし、当事者の納得のためだけならば、いろんな方法を比較するのもいいでしょう。

使うツールは、なんのために使うのかという意識が大切です。

弁護士の関与の下、方法を検討してください。

弁護士 杉浦智彦