遺言書保管法の成立・公布
平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号)が成立し、同月9日に公布されました。
この法律は、2年以内に効力が発生します。
対象となる遺言は?
遺言には、公正証書遺言・秘密証書遺言・自筆証書遺言がありますが、今回の対象は、自分で作成した自筆証書遺言です。
遺言の種類については詳しくはこちらを御覧ください。
https://shoukei-houritsu.net/h30souzoku_2/
従来の問題は?
自筆証書遺言は、これまでは、自宅で保管されることが多かったのですが、
紛失したり、また、相続人によって改ざん・隠滅される(と争われる)ことが多かったのです。
そこで、法務局で預かり保管するため、この法律ができました。
ポイントは4つ
1 原本プラス画像データで保管
今回の法律では、法務局が、遺言原本を預かるだけではなく、それを画像データにして保管することになります。
2 死亡時までは遺言を書いた人だけが閲覧・撤回できる
遺言を書いた人は、生前、その遺言の閲覧を求めたり、撤回することができますが、書いた人以外は撤回作業ができなくなります。
3 死後は、相続人が閲覧できるが、その情報はほかの相続人にも通知される
相続人は、遺言が保管されているか、法務局に確認を求めることができ、遺言書保管事実証明書という証明書の取得をすることができます。
また、遺言書の閲覧、また遺言書情報証明書というデータの閲覧もできます。
ただ、閲覧がなされたときは、法務局は、速やかに,当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人,受遺者及び遺言執行者に通知することになるので、他の相続人もその事実を知ることになります。
4 家庭裁判所の検認手続は不要に
これまでは、自筆証書遺言は、偽造などがされないよう、家庭裁判所の検認手続という手続きが必要とされていました。
しかしながら、法務局が保管するため、偽造等はされないということで、検認手続は不要となりました。
ただ、まだ決まっていないことも多い
ただ、保管方法は決まっていても、法務局が具体的にどのように管理していくかなどは、決まりきっていない部分もございます。
継続して、情報提供していければと思います。
弁護士 杉浦智彦