前回までの続きです。
間接取引は具体例ごとに考えるほかない?
間接取引の基準としては「 外形的・客観的に会社の犠牲において取締役に利益が生ずる 」というのがあるのですが、結局、具体例によるとしか言いようがありません。
これまで裁判例で認められたものを列挙します。
- 会社による取締役の債務の保証
- 会社による取締役の債務の債務引受
- 会社による取締役の債務の物上保証
保証系は認定されやすいのですが、「どこまでなら間接取引なの?」というと、本当によくわかりません。
例:特別支配株主による買取請求をする代表者は?
90%を持つ特別支配株主による株式買取請求制度はわかりますでしょうか。
過去、この記事でも説明しているものになります。
もし代表者が90%を持っている場合、「これ、多数もっている人が買い取るんだから、間接取引なんじゃないの?」と言われることがあります。
ただ、これは、間接取引にはあたらないのではないかと思われます。
理屈上、この株式買い取りは、間接取引ではないといえます。なぜならば、特別支配株主と、少数株主の間で行われるため、「株式会社が」行う取引でないからです。
複雑な話ではありますが、利益相反にはあたらないのです。
ややこしいので、詳しい弁護士に確認
以上のように、間接取引は、かなり複雑な話になります。
ややこしい話ではあるので、詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士 杉浦智彦