契約書のない中小企業は、まだまだ多い
実は、取引先との間で契約書を交わしていない中小企業というのは、まだまだ多いです。
それは、信頼関係があるからとか、細かいところでもめたくないという理由なのかもしれません。
それだけでなく、親族から土地を借りて会社の工場を立てている場合など、賃貸借契約の契約書がないなんてこともあります。
しかしながら、事業承継のときには、これが大きな問題となります。
第三者承継は信頼関係がなくなる可能性があるから契約書で縛る必要がある
第三者に会社を引き継いでもらう場合、これまでのように、信頼関係を引き継いで会社を渡すことができません。
そのため、第三者に引き継ぐとき、契約書のない取引全部が、承継のとき大きな障害となって立ちはだかるのです。
まずは、契約書を締結できるようにすることが一番ですが、それが間に合わない場合の対応策があります。
それが、「表明保証」といわれるものです。
きちんと引き継ぐことを先代経営者に保証してもらい、引き継がれないときに、その分の価値相当額として算定した金額を違約金として支払う形をとるという方法です。
そうすると、買い取ってくれる企業も現れることがあります。
ただ、そうはいっても、売却価格が下がったり、揉める原因なので、できる限り日々契約書を締結していくべきなのは、言うまでもありません。
弁護士 杉浦智彦