こんな方におすすめ
- まだ遺言を用意していない
- 子どもの仲が悪く、相続で揉めるかもしれない
- 突然病気を患い、将来のことを早めに決めなければならない
争族問題は起こりやすい?
中小企業の社長の相続は、残された遺族の間で紛争になりやすいです。
とくに、「お兄ちゃんだけずるい」ということで、後継者以外の家族が相続分を主張し、円滑な事業承継が妨げられることが多いです。
先代が生きている間に揉めなくても、死後トラブルになる事例を数多く見てきました。
先代が生きている間に対策を取ることは極めて大切です。
遺言の作成
まず先代経営者に作成してもらいたいのが、相続をどうするかを決める「遺言」です。
遺言は、法律上も、遺産の引継ぎ先が決まるので重要です。
さらに、遺族の気持ちの面でも、先代経営者の「気持ち」が伝わるので大切です。
遺言は必ず作成すべきです。
「まだ後継者を誰にするか確信を持てていないんだ」という悩みもあると思います。
そのようなお悩み、遺言の作成方法も含め、弁護士が積極的に相談に乗ります。
遺留分があるとどうなる?
仮に遺言があり、後継者に全部の財産を引き継ぐとしても、問題になるのが「遺留分」です。
たとえ、息子を後継者にするとしても、妻やほかの子どもにも、以下のような遺留分が発生し、相続財産の一部分がもっていかれる可能性があります。
遺族の関係 | 遺留分 |
配偶者と子ども2人 | 配偶者の遺留分:全体の4分の1
子ども一人の遺留分:全体の8分の1 |
配偶者と子ども3人 | 配偶者の遺留分:全体の4分の1
子ども一人あたりの遺留分:全体の12分の1 |
子ども3人 | 子ども一人あたりの遺留分:全体の6分の1 |
相続財産で重要となるのが次の2つです
・会社で使われている、先代経営者名義の工場機械・土地建物
・株式
株式の多数が後継者以外に奪われると、経営決定ができなくなり、会社は回らなくなります。
株式の遺留分をなくせる「民法特例」
遺留分をなくす方法は2つです。
一つは、事前に、遺留分の権利をもつ相続人が裁判所の許可をもらって遺留分放棄をする方法です。これは、各相続人ごとに裁判所に申請しなければならず、使えません。
もう一つが、「民法特例」といわれているもので、株式の遺留分のみなくす制度です。
民法特例を利用するためには、現経営者の推定相続人全員及び後継者で合意をし、合意書を作成することが必要です。
その後、経済産業大臣の確認、家庭裁判所の確認(一回だけでOK)をすれば、株式の遺留分をなくすことができるのです。
弁護士が関与することで、円滑な事業承継を実現することができます。
まとめ
・中小企業の先代経営者が死亡したときは「争族」になりやすい
・遺言は絶対必要
・遺言だけではカバーできない部分は、遺留分対策をとることが大切