社長
最近、「事業承継で信託が使える」という話を聞いたのですが、どういうときに信託を使えばいいのですか
弁護士
信託は、事業承継の選択肢を増やす制度です。株式の議決権を行使できる人と、配当を受ける人を分けることもできます。また、先代経営者が二代先の後継者を指定することもできます。
信託とは
信託というのは、「信じて託すこと」をいいます。
ただ、法律用語の「信託」というのは、「受託者が委託者から移転を受けた信託財産を、委託者の定めるところにしたがって管理処分し、受益者に給付することを目的として設定される法律関係」をいいます。
たとえば、先代経営者が死ぬまでの間は経営権を保持したいが、その後は後継者に速やかに議決権を承継させたい場合は、以下の図のような信託を組むことになります。
このほかにも
・後継者以外にも子供がいて、その者と紛争がおきないよう、配当を受け取る人と議決権を行使できる人を分ける信託
・直近の後継者だけでなく、その後の後継者も決まっている場合に使える、「跡継ぎ遺贈型」信託
などがあります。
このように、自由な制度設計ができるのが、信託の特徴です。
専門家のアドバイスを受けて、適切な信託を構築することが、円滑な事業承継のために大切です。