不透明なところが多い「所在不明株主の株式の売却制度」
会社法197条には、所在が5年以上不明な株主の株式を会社が売却できるという制度が用意されています。
単に売却できるだけでなく、自己株式の取得ということもできます。
これ、複雑なのですが、条文を読む限り、
①所在不明株主の株式売却代理権限を、裁判所の許可により、会社に与える
②会社が、自己の名前で、株式を売却できる。
③(自己株式の取得の場合)会社が、取締役会の決議による承認を得たら、当該株式を購入できる。
④決済がなされ、お金は、その所在不明株主に支払われる?
ということになります。
ただ、④については、条文をよんでも、どうお金を払えばいいかわかりません。
実務運用は、会社口座にて振替の上で管理
実務上は、会社が「所在不明株主の株式売却代金支払明細」を作って、このお金を会社で保管することが求められています。
自己株式の取得の場合は、いったんお金を引き出して再投入するかは別として、別保管するために、同一通帳内で振り替える経理処理が必要となるわけです。
この管理の期間は、管理を始めた日から10年ですね。
その期間を経過すると、所在不明株主の代金請求権は時効で消えるのです。
参照:全株懇「所在不明株主の株式売却制度事務取扱指針」
http://www.kabukon.net/pic/34_1.pdf
弁護士 杉浦智彦