弁護士と事業承継

後継候補者から退社意思を示された場合の対応策

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誰かを選べば、誰かは選ばれない

経営者が後継者になりそうな人を選ぶとき、逆に、良い後継候補者のほうから、退社意思を示されるということが、それなりにあります。

また、後継者が決まりつつあるときには、それ以外の人はやはり会社に残れないということも、それなりにあります。

良い後継候補者は、候補者のままであれば会社にとってよい人材ですが、会社から出ていくとなれば、一度脅威的な存在になりえます。

「良い」後継候補者は何がよかったのか

一般的に、「良い」後継候補者は、

①会社の取引先との関係をうまく構築できる(社外対応)

②他の従業員と仲がよく、引率が取れる(社内対応)

③会社にとって不可欠なノウハウを有している(企業価値を人が担っている)

のどれかに該当します。

①の点でよい人が出ていけば、取引先をごっそり持ち出される可能性がありますし、

②の点でよい人が出ていけば、有望な従業員も一緒に退職し、会社が回らなくなる可能性がありますし

③の点でよい人が出ていけば、そもそも企業価値の大きな部分を失い、競争力を失う可能性があります。

ムチとアメをどう提供していくかが大切。

まずは、そのようなよい従業員に退職されないよう、きちんと手厚く対応しておくことが大切です。それは賃金面や裁量面になるかと思います。

また、その一方で、退職したとき、「現在よりもお金が手に入らない」という状況を組んでおくことも大切です。

例えば、退職後数年間は、同業種で働けないように定めを置いたり(競業避止義務)することは、大切なことです。

もし、競業避止義務を結んでいないとしても、勝手に出ていかれてしまうと、損害が大きくなりますから、協議の上で、たとえ事業の一部を譲渡しても、円満な形で退職してもらい、その他の取引先まで手を出させないよう合意してもらうことも重要な選択肢だといえます。

 

このような戦略的な部分は、弁護士とともに検討すべき問題といえます。

是非一度、ご相談ください。

弁護士 杉浦智彦

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