株主総会を開催していない会社は結構多い(よくないけれども)
弁護士になって実務を知るまでは、株主総会が行われたことのない会社なんか存在しないと思っていました。
しかしながら、結構、出くわすものです。
その理由は、結局、ワンマン企業や親族企業が多くて、株主総会を開かなくてもよいということがほとんどだからでしょう。
ただ、これは、M&Aをするときには、大きな問題となります。
株主総会決議不存在確認の訴えは、期間制限ない。消えることがない問題に!
実は、株主総会の決議が存在しないということは、永遠に争えます。10年経過したら争えなくなるということはないのです。
そうすると、永遠に、株主総会の存在を争われ、もはや収集がつかなくなることも考えられます。
(とくに、取締役などの役員選任がなかったとなると、誰も経営判断できないということも考えられます。)
実は、抜本的な解決方法もない
この手の案件でよく取られる方法として、現在の株主総会を開催のうえで、従前の決議があったものとする(追認決議)という方法があります。
しかし、実は、これですべての問題がなかったことにはできません。なぜならば、経営の判断ができる権限がある人が会社に残っておらず、不具合を解消できないからです。
(この点について、柴田堅太郎『中小企業買収の法務』(中央経済社、2018)99ページでは、創業以来、代表者だけが唯一の株主という会社の場合は、現在の段階で追認決議をした場合に有効にできる可能性があるとの見解が示されています。)
追認決議のほかは、金銭解消するほかない
そのため、最近よく取られる方法は、契約条件に「もし問題が顕在化したら、特別補償をする」という条項を入れて、金銭で問題を解消するということです。
結局、どうすることもできないので、お金で処理するほかないのです。
非常に悩ましい問題について、解説をしました。
弁護士 杉浦智彦