国が本気で事業承継を支援しはじめました。
平成29年12月22日に閣議決定された平成30年度税制改正大綱によると、
平成30年から期間限定で、中小企業の事業承継に関し、史上最大の税制優遇をするとのことです。
その概要をお伝えします。
平成30年度税制改正のポイント
1.事業承継に関する相続税・贈与税負担が100%猶予に
今後10年間(平成39年12月31日まで)に限って、(要件を満たした場合に)事業承継の相続税・贈与税が100%猶予されます。
さらに、要件も緩和されました。
【緩和される要件】
- 猶予対象となる株式数が、これまでは3分の2だったのが、全てに拡大!事業承継時の支払い負担がゼロに
- 雇用継続の要件が、これまで5年間で平均8割以上だったのが、専門家のサポートがあれば未達成の場合でも猶予継続が可能に!
- 対象者がこれまで1人の経営者から1人の後継者だったのが、親族外を含む複数の株主から、後継者(最大3人)への承継も可能に!
2.経営環境変化に対応した減免制度
これまで、事業承継税制を利用した時、後継者が自主廃業や売却を行うときに、経営環境の変化で株価が下落しても、承継時の株価で税金計算がされていました。
今回の改正で、売却時・廃業時の評価額をもとに納税額が計算され、差額が減免されるようになりました。
3. 親族外への事業承継の税負担軽減措置
さらに、親族外承継を支援するため、M&Aの際に発生する税負担(登録免許税・不動産取得税)の軽減措置が創設されます。
4.賃上げをする企業への税額控除(事業承継以外も適用)
5%以上の賃上げをした中小企業は、前年度からの給与増額額の15%の税額控除を受けられます。
さらに、5%以上の賃上げを実施した中小企業のうち、一定要件(教育訓練金や経営力向上の状況)を満たす場合は、税額控除率が25%に深掘りされます。
5.IT機器などの導入が支援されます(事業承継以外も適用)
パソコンなどの30万円未満の減価償却資産を取得したとき、合計300万円まで全額損金算入を認める措置が2年延長されます。
6.交際費を使って売上維持拡大する企業が支援されます(事業承継以外も適用)
800万円までの交際費について損金算入を認める特例措置が2年延長されます