遺言

平成30年相続法改正のポイント1~「相続させる」と書いた遺言だけではダメ~

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まずはこんな事例を想像してみてください。

ある経営者の方が、自分の財産を整理して、子どもたちが喧嘩にならないよう、次のような遺言を作っていました。

・会社や工場の土地建物、株式、会社への貸付金債権は、後継者である次男Bに相続させる。

・XX銀行の普通預金は、長男であるAに相続させる

・・・

そして、平成33年4月1日、その経営者の方がなくなってしまいました。

その後、Bは会社の引き継ぎなどでバタバタしており、相続登記など、相続後の処理をしないままにしていました。

すると、後継者になれなかったAは、嫌がらせのため、会社や工場の土地の「Aの法定相続分である持ち分半分だけ」を、勝手に、怪しいYさんという方に売ってしまったのです。

現在、Yさんから、その持ち分を高値で買うように言われている状況です。

改正前の状況

法改正前は、特定の財産を「相続させる」と書いた遺言を書いておくと、登記をしなくても、勝手に買った人に対して、「これは自分のものだ」と主張できたのです。

これまで、この「相続させる」遺言は、「遺産分割方法の指定」であり、Aさんに土地建物の所有権がいくことはなく、そこから買った人も、権利のない人だということになるのです。

そのため、この事例も、Yさんは、権利がなく、Bさんも、この土地の持ち分も含め、全部自分のもので、会社のために使えると反論できたのです。

改正法施行後だとどうなる?

実は、改正法では、「相続させる」という形であっても、法定相続分を上回る部分を持っていると他の人に対抗するためには、登記などの対抗要件が必要となりました。

そのため、登記のないBさんは、Aさんから法定相続分を取得したYさんに対して、土地建物の所有権があると反論することができないのです。

残念ながら、Bさんは、Yさんから高値で工場などの土地建物を買わなければならなくなるのです。

どうしたらいいの?

今後の対策としては

・相続登記など、相続後の処理をきちんと行う

ことが大切なのですが、遺言を書く経営者の方にも防止策があります。

それが、「遺言執行者」という制度です。

遺言のとき、「遺言執行者」という、遺言を実現する専門職(弁護士を選ぶことが多い)を選ぶよう記載をしておくと、遺言執行者は、登記などの手続きをすることができるようになりますので、安心することができます。

遺言執行者をどうやって遺言に記載するかなど、ぜひ、一度、弁護士のアドバイスを受けていただくのがよいでしょう。

弁護士 杉浦智彦

 

 

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