事業承継の一つの山場は「株式の集中」
昔からある会社だと、株式を親族や従業員に渡しているという事例が多いです。
しかも、その方がなくなっていて、現在誰が株式を持っているかも定かでない場合があります。
そのため、事業承継の一つの山場として「株式の集中」という作業が必要となります。
ここでは、最低限どこまで株式を集めればよいかをお教えします。
株式数≒議決権の数でできることが違う
実は、株式の数(正確にいえば議決権の数)で、できることが変わってきます。
議決権割合 | 可能な決議または権利行使の内容 |
4分の3以上 | 特殊決議(株主ごとの異なる取り扱いへの定款変更など) |
3分の2以上 | 特別決議(定款の変更や解散、事業の譲渡など) |
2分の1を超える | 普通決議(役員選任、解任、決算書類承認など) |
株式数が多ければ多いほど、できることが増えるので、できる限り株式を集めるのが望ましいといえるでしょう。
特に、3分の2以上集められると、定款変更をすることができ、柔軟な会社運営もできるようになります。
ただ、過半数(2分の1を「超える」こと)の議決権があれば、ある程度のことまでは決められます。
そこで、最低でも過半数の株式を集めることが必要になるわけです。
なお、半分では足りません。最悪の場合、他の株主と喧嘩してしまった場合、過半数の議決権がないので、会社のことを決定できなくなることも予想されます。
株式を集めるためにはどうしたらいい?
まずは、確定申告書の別表で、株主の調査をはじめます。
さらに、そこから、現在の状況を確認していき、もし亡くなられている場合は、相続人を調査していくことになります。
この相続人調査は、弁護士が戸籍などを取り寄せて行うことになります。
そして、現在の株主が見つかれば、その方と、株式引渡しの交渉をしていくことになります。
このとき、株式を渡した理由などを聴き取り、弁護士が株式引渡し交渉をすることができます。
とくに、株式を渡した理由(名簿上他の株主が必要だったが、お金は先代経営者が出していたなどの事情)があれば、弁護士は交渉がしやすいところです。
弁護士がヒアリングの上で対応させていただきます。
株式を集めるだけではあぶない?
ただ、先代経営者が株式を集めるだけでは足りません。
なぜならば、そのままでは他の相続人にも株式が渡ることになり、後継者に対して全ての株式を受け渡すことができなくなるからです。
そのため、株式の売買・贈与・遺言など、さまざまな方法で、後継者に対して株式を渡すことが大切になります。
この部分は、まさに弁護士がお役に立てる場面です。
まとめ
- 株式は最低でも半分を超える量を集める
- 現在の株主を調査するためには確定申告書が使える
- 相続人の調査も必要
- その後の先代経営者の相続への配慮も必要
以上