先日、認定支援機関向けの特例承継計画のマニュアルが公表されました。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180402shoukeizeisei.htm
こちらのページに、計画の具体例も含め、掲載されています。
今回特に重要なのは、計画を進める上で、雇用が8割を維持することができない場合の処理について書かれているということです。
従来の制度では、認定を受けた中小企業者は、5年間で平均8割の雇用を維持することができなかった場合は認定取消となりました。
一方、特例の認定を受けた場合は、雇用が8割を下回った場合でも、その理由について都道府県に報告を行えば認定取り消しを回避できる可能性が出てきました 。
その報告に際し、認定支援機関が、雇用が減少した理由について所見を記載するとともに、中小企業者が申告した雇用減少の理由が、経営悪化あるいは正当ではない理由によるものの場合は、経営の改善のための指導及び助言を行う必要があります。
雇用が減少した理由・所見について5つから選択するような形になり、それに応じて、支援機関はアドバイスをすることになります。
① 高齢化が進み後を引き継ぐ者を確保できなかった。
② 採用活動を行ったが、人手不足から採用に至らなかった。
③ 設備投資等、生産性が向上したため人手が不要となった。
④ 経営状況の悪化により、雇用を継続できなくなった。
⑤ その他(具体的に理由を記載)。
これらが理由になるわけですが、今回着目できるのは、生産性向上による雇用減少が許される余地が出てきたというところです。
設備投資をし、人件費を減らして小さく回す形の経営革新も許されるということでしょうか。
実際の適用例を参考にしながら、徐々に運用が明確になるのだろうと思います。
弁護士 杉浦智彦